釧路支部(亀岡孝支部長)は、11月9日、16日に経済ゼミナールを開催しました。全4講のうち、9日の第2講では「経済学説史」、16日の第3講では「経済原論」を釧路公立大学の神野照敏准教授が講演しました。
第2講の経済学説史は、経済学の歴史を紐解く学問と説明し「生産性の向上と生産物の分配を課題に発展してきた経済学は、18世紀に大きな転換期を迎えた。これまでの物々交換よりも、生産物の収集、分配に最適な『市場』システムが登場し、人々の生活は著しく豊かになった」と、現代の経済基盤の成り立ち説明しました。さらに「当時主流だった、金や銀(貨幣)こそが富と考える重商主義を批判し、食糧や衣類などの生活品こそが人間の富だと考える経済学者アダム・スミスの登場によって、経済活動への考え方を革命的に転換させた時代でもあった」と述べ、18世紀から経済学が発展した背景を紹介しました。
さらに、市場の発展により、様々な思想で商品価値が問われたことに触れ「物々交換経済において、商品は労働や生産費、需要、供給などで価値が決まるという議論が展開された。一方で、貨幣を重要視した貨幣的市場経済を唱えたケインズは、人対人の物流ではなく、社会全体を見るマクロの視点で経済活動を分析するマクロ経済学で今日の経済に影響を与えた」と説明しました。
第3講の経済原論では、各国が生産能力の分だけ生産する絶対優位と、各国が生産性の高い分野ごとに分業で生産を行う比較優位の理論を紹介しました。「相互にメリット、デメリットはあるが、コスト削減のための海外進出は、結果的に労働者の低賃金や低保障、生活水準の低下につながる。削られた資金は外部が負担しなければいけないことを忘れてはならない」と延べ、グローバル社会が起こす弊害について訴えかけました。
最後に「経済学はあくまで理論上の学問であり、ある一定の条件下でなければ理論は成立しない。しかし、世界中の産業予備軍との日本の労働者が競争をしなければいけないことは紛れもない事実で、今後の日本の大きな課題だ」と締めくくりました。
▼2講に亘り講義した神野准教授
▼熱心に聞き入る参加者の様子
経済ゼミナール第4講は、11月30日(水)18:30より、釧路公立大学の下山朗准教授が「地域経済と財政」について講義します。
★参加お申し込みはこちらからどうぞ。
http://portal.doyu-kai.net/modules/eguide/event.php?eid=1776