別海地区会(寺井範男会長)は27日、同友会アカデミーを開催しました。今回は経営指針をテーマに札幌支部会員の阿部隆行氏(エール代表取締役)が講演しました。阿部氏は「経営指針で会社は救われる」と題して自身が経営指針に出会うまでの苦悩の日々とその後の変化について報告しました。
阿部氏が経営するエールは写真製版業としてスタートし、高い技術力を武器に有名雑誌などの製版を請け負って高収益を挙げていました。しかし、道外の大型取引先の倒産や、時代と共に製版という作業自体が縮小していくという中で阿部氏は「何のために自社が存在するのか」という目的を見失ってしまいます。経営意欲すらも失いかけていた阿部氏でしたが社員の屈託のない笑顔から「彼らを路頭に迷わせるわけにいかない」と一念発起します。
「会社をつぶすわけにはいかない」と決心した阿部氏は同友会の「経営指針成文化研究会」に参加します。当時を振り返って阿部氏は「それまで社員は『守るべき存在』と考え、対等なパートナーとしては捉えていなかった。研究会で討論する中でなぜ会社を経営するのかを話し合い、経営者と従業員はともに会社を守り、大きくするという共通の目的で協力し合っていると気付いた時、『労使見解』の中にある『社員はもっとも信頼できるパートナー』という言葉が納得できた。1975年に発表された『労使見解』は、40年近く経つ現代でも色あせることなく経営者を勇気づけてくれている」と述べました。このほかにも東日本大震災で被災した同友会会員が経営指針をもとに復興計画書を作成し、前向きに取り組んでいる事例などが紹介され、参加者は「経営指針の伝道師」阿部氏の言葉に聞き入りました。
▼「経営指針の大切さを広めることが同友会への恩返し」と阿部氏
▼熱心に聞き入る参加者