一般社団法人北海道中小企業家同友会釧根事務所

身近過ぎて気付かない地域経済の姿を数字から読み解く 摩周地区会4月例会


 摩周地区会(竹森英彦会長)は5日、釧路公立大学の下山朗准教授を迎えて4月例会「弟子屈町の地域経済、その姿」を開催しました。当日は同友会会員ばかりでなく、行政、金融機関、商工会からも参加し、4月1日に施行された弟子屈町中小企業基本条例を大いに活用するため、地域経済の実像を学びました。

 講演の中で下山氏は「国勢調査の結果から推測したところ、弟子屈町は2035年には人口が6,000人を下回るという結果が得られた。これは、道内平均に比べて一次産業は高い生産規模を持っているにもかかわらず、製造業が著しく低い水準にあることが原因だと考えられる。一次産業で生産されたものを加工せずに原料のまま出荷しているため、製造業が伸びないのではないか。製造業が持つ『弱み』を解消して雇用を増やせば人口の減少に歯止めをかけることが出来る。人の定着が地域の中でカネを回す『域内循環』につながり、地域経済の持続に繋がるのではないか」と弟子屈町の弱みを解説しました。また下山氏は強みについても触れ、「近隣の釧路市などに比べ、飲食・宿泊業が安定して増加している。三次産業への新規創業を支援していくことが持続的な地域経済を形成する上で必要ではないか」と述べました。

 講演の最後に下山氏は「中小企業者だけでなく、行政、金融機関まで集まっての講演会は珍しい。これを機会に、金融機関には地元中小企業への支援の在り方を再考してほしい。また、行政には税収と人口維持を切り口とした、中小企業の重要性を再認識してほしい」と延べ、条例制定後の施策検討の充実に期待を寄せました。

▼「三次産業の盛り上がりが一次、二次産業へ波及していく」と説いた下山氏

▼「数字」で表される地域経済の姿に聞き入る参加者

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