釧路支部は2月12日に幹部大学第5講を開催し、釧路公立大学の高野敏行教授が「私とは何か?」をテーマに講義を行いました。
高野氏は「私らしさ」と「私」の違いについて触れ、「『私らしさ』とは精神分析や心理学、社会学等で扱われる分野で、アイデンティティとも言われる。一方、『私』は『私らしさ』よりさらに深い部分であり、高名な哲学者たちは『魂』や『本当の私』、『良心の声』、『超自我』などと表現した。すべての肩書きを取り去り、最後に残ったものが『私』という存在だ」と解説しました。
さらに精神科医の中井久夫氏の著作『樹をみつめて』の一部を引用し、アイデンティティと生き甲斐について「市場原理主義経済が発展し、アイデンティティや生き甲斐よりも能力や資格が優先される時代になってきている」と語り、さらに「『私』を追求する哲学のような学問も一見意味がないように見えるが、自分の幅を広げ高く成長するためには重要な事だと思う。哲学や映画、ドキュメンタリーなどに多く触れ、常に自分を揺り動かして柔軟な考え方を持ってほしい」と語りました。
釧路公立大学 教授 高野 敏行氏