釧路支部は7月25日に7月例会を開き、日本銀行釧路支店長の小澤浩太郎氏が『道東の地域経済と中小企業の現状』と題して講演しました。
小澤氏はまずアメリカ経済の現状について触れ、「サブプライムローン問題でアメリカ経済の不振が続き、それが世界に波及して市場が不安定になっている。雇用者数は6カ月連続で下降し、また不動産の下落による金融不安が広がっている。これらの問題が日本の経済に悪い影響を及ぼしている」と述べました。
また日本で大きな問題となっている原油価格の高騰と物価の上昇について「株に替わって原油に投機が行われるようになり、結果原油価格を押し上げている。原油価格の高騰と新興国における需要の拡大が物価の上昇を招き、日本経済にマイナスに働いている。新興国の需要の抑制が重要であり、G7だけでなく新興国も含めて対策を練る必要がある」と語りました。
道東の経済については「製造業はよくなってきているが、非製造業が物価の上昇を価格に反映できず低水準が続いている。一次産業は道東の豊富な資源を活用し、付加価値率を高めていく必要がある。森林・バイオマス資源など、発展する余地は充分にある」と強調しました。
講演後の質疑応答では「車社会の北海道において、公共投資削減によるインフラ整備の停止は大きな問題だ。こういった地域格差の問題を中央ではどのように考えているのか?」との質問に対し小澤氏は「放置できない問題だと考えている。戦後の北海道は比較的豊かな地域で、本州に物資を供給するなど日本の戦後復興を支えていた。その北海道をないがしろにすることはできない。必要なインフラ整備にはしっかり投資していくべきだ」と述べました。
【日本銀行釧路支店長 小澤 浩太郎氏】