同友会南しれとこ支部(今野慎也支部長:111社)は3月27日に3月例会を開催し、「地域と業界の現状報告、そして明日の地域産業を考える」と題して中山勝志さん、磯田忠雄さん、松村康弘さん、秋山俊彦さん、中田千佳夫さんが報告しました。
別海町で大規模酪農場を経営している中山さんは「去年は12年ぶりの生産抑制が実施された年であり、乳牛個体価格が下がり、牧草の品質が落ちたことにより乳量が減った。さらに昨夏の異常気象と燃料価格高騰により、輸入していた飼料価格が高騰してしまった。今後数年も飼料価格は高止まりし、神経質な日々が続きそうだ」と地域の酪農業を取り巻く環境について報告しました。
また測量会社を経営する磯田さんは日高管内で30億円を売り上げる建設業者でも倒産に追い込まれたという新聞記事に衝撃を受けたことを報告し、「建設業では公共事業が全道的に減らされているのが実態。今後も深刻な状況に変わりはない」と語った上で、水産業に関しては「ニシベツ秋鮭のような地域ブランドをつくりあげることが重要であり、自らの商品にストーリーとヒストリーをつけて大事に育てていくことが課題となっている」と述べました。
中標津町内でスポーツ店を経営する秋山さんは「大型店の進出により、町の先駆者たちが築きあげてきた商店街が破壊されている。町の文化、歴史を大切にしようという心を忘れ、明確なビジョンがないままで組織が一人歩きしているのが現状だ」と中標津町商店街の実態を語りました。
獣医として活躍する中田さんは「獣医の高齢化が進み、大動物専門医不足のために牛の診療所確保が今後の課題となっている」と指摘し、さらに観光事業について「町のPRをしても地域の人が無関心で、本州の人しか関心を持たない現状は寂しいの一言に尽きる」と観光事業の発展が地域産業振興に重要だと提起しました。
冷暖房・給排水事業を展開する松村さんは「中標津町の全就労人口の3割を建設・建築業が占めているが、鉄・銅・ステンレスの価格高騰により仕切値はそのときにならないとわからない状況だ。官工事の減少に伴い、業界が衰退していく現状を親身になって考えてくれる人が少ないのが問題ではないだろうか」と建設業が置かれている状況を報告しました。
5名のパネリストと共に参加者は地域と業界の現状について理解を深めました。