一般社団法人北海道中小企業家同友会釧根事務所

岩手同友会支援のご報告【釧根事務所 栗谷秀実】


 釧根事務所の栗谷です。4月26日から5月2日まで岩手同友会でお手伝いをしてきました。岩手同友会気仙支部では津波で大変な被害のあった陸前高田市で「朝市」を復活させる取組みが計画されていました。私はその準備を手伝うために27日から2日までの6日間を陸前高田で過ごしました。

▼満開の桜の先に生々しい津波の爪痕が残る陸前高田市(4/27)

 現地は電気が復旧しているものの上下水道が寸断され、市内中心部があった沿岸の低地は、食料品店、飲食店、雑貨店など全ての商業施設が津波で跡形もなく消えています。気仙支部のメンバーは「またこの土地で商売がしたい。避難者に好みのものを選んで、買い物をする喜びを思い出してもらいたい」と朝市を計画し、岩手同友会気仙支部長の田村満氏が経営する高台の自動車学校の敷地内にテントを設営し、飲食店用の厨房を「同友ハウス」と名付けて新たに造ることを決めました。5月1日の朝市オープンまでおよそ10日間。「同友ハウス」は通常、数週間をかけて設営することを想定したものでしたが、現地会員の熱意とそれに突き動かされた他支部会員によって、わずか3日間で完成しました。

▼わずか3日間で完成した朝市の厨房「同友ハウス」(4/30)

 待ちに待った朝市オープンの5月1日午前10時。盛岡市内で仕入れた新鮮な肉、魚、野菜、生花が並ぶ様子に来場者から歓声が上がります。不自由な避難所生活の中でも子どもたちに元気をと、真っ白な鯉のぼりに思い思いに色を付けるイベントや、宝探しゲームなども行われ、笑顔の絶えない風景が広がります。朝市は今後半年間の予定で営業され、物資の配布や日替わりでの飲食店営業が行われる予定です。陸前高田の復興へ向けた経済活動はこれから益々拡大していくことでしょう。

▼皆が力を合わせてオープンに漕ぎつけたけせん朝市(5/1)

 準備作業を続ける中で、現地の会員から様々な話を聞くことが出来ました。「俺たちは会社を残す事も大事だけれど、そのために朝市を立ち上げたんじゃない。雇用している従業員の生活、命を守るために朝市をやるんだ」「一昨年、同友会の経営指針研究会に参加したからこの震災でも乗り切る目途を付けることが出来た。あのときが無かったら、震災が無くても会社を潰していたかもしれない・・・」「今回の震災で命を落とした同友会の仲間のためにも朝市を成功させたいんだ」。様々な思いを胸に全員が前向きに陸前高田での生活を再建するために活動しています。

▼生鮮品を求める来場者で賑わう朝市(5/1)

 今回の震災で失われたものはあまりに多く、また元通りにはならないものもたくさんあります。しかし、一歩ずつ着実に復興の道を歩みだした陸前高田の同友会メンバーはいつの日か活気ある地域を作り上げるでしょう。陸前高田を離れる直前、現地の会員の方から一枚のポスターを頂きました。そこには「がんばっぺし(がんばろう)!陸前高田」の文字が。陸前高田にしっかりと根を張り、生きていく決意が「がんばっぺし!」の言葉に込められています。

▼出店した蕎麦屋さんには黒山の人だかりが。久しぶりの「外食」(5/1)

▼「がんばっぺし(がんばろう)」と大書されたポスターをお土産に頂きました。

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