釧路支部(亀岡孝支部長)は28日に幹部大学の第三講を開催し、釧路工業高等専門学校の小田島教授が釧路出身の作家原田康子の『挽歌』について、講演しました。
小田島氏は「『挽歌』は、同人誌である北海文学で連載していた。その後、和田謹吾らに評価されて全国に広まった。地方の無名同人誌から全国に人気が広まったことは非常に稀なことだ」と名作が生まれた背景を述べました。
その後小説の一部を抜粋し、ヒロイン兵藤怜子の行動に触れ「しばしば小悪魔的だと言われる。自分を叱ってくれる親がいなかったため、成長に必要な条件が奪われてしまった。そのため、他者に対して挑発的とも言える言動をするようになった」と解説しました。
「『挽歌』は50年前の作品だが、読者に一切古臭さを感じさせない。怜子の行動や兵藤家の家族状況が、自分探しや家庭崩壊など今日的な問題を予兆していたと言える」と語りました。(記:吉本勝)
▼挽歌は若者にも読んで欲しいと語る小田島氏