一般社団法人北海道中小企業家同友会釧根事務所

農水連携、地域循環型酪農経営の現場から学ぶ 別海地区会12月例会


 南しれとこ支部別海地区会(寺井範男会長・70社)は12月15日、12月例会を開催し「農水連携、地域循環型酪農経営から学ぶ」と題して進洋丸水産の松原政勝さん、森高牧場の森高哲夫さんが牛の糞尿処理技術と成果について報告しました。

 サケ漁を主として水産業を営む松原さんは「以前は『事故』と呼ばれるサケ・マスふ化場での稚魚の大量死がたびたび発生していた。土壌に浸透した糞尿が川へ流出したことが原因の一つとして考えられたため、川のそばにある牧場に試験的に処理施設を造ったところ『事故』が減少した。その川の流域では10年以上『無事故』だ」と述べました。この処理施設は焼成したホタテ貝の貝殻の浄化機能を利用したもので、近隣の河川への影響もさることながら、牧場に立ちこめていた糞尿の臭いも殆ど気にならなくなったということです。

 続いて報告した森高さんはマイペース酪農を行う酪農家で、ホタテ貝を使ったし尿処理施設を導入した農家の一人です。「身の丈に合った酪農を行うことで時間的な余裕や、家畜への負担が軽減できる」との考えから、1haの土地に牛1頭の割合で放牧しています。乳量は農協平均の約半分ですが、費用も平均に比べてかなり低減されています。森高牧場ではたい肥盤を深さ60センチまで敷き詰めた貝殻の上に設け、そこからろ過された水分を土壌菌で分解しています。処理された無臭の液体は牧草地に肥料として撒かれ、育った牧草は飼料として循環しています。

 報告の後、実際に牧場を見学した参加者からは糞尿の臭いが全くしないことへの驚きや、費用、耐用年数などについての熱心な質問の声があがっていました。

▼「河川に近接する牧場を対象とした基金もあり、活用してほしい」と話す松原さん

▼「時間を有効利用できるのがマイペース酪農の特徴」と話す森高さん

▼アンモニアによるハウス内の鉄骨腐食も少ない曝気施設

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