釧路支部は10月27日に「経営者・幹部社員合同研修会」を開催し、中小企業家同友会全国協議会会長の鋤柄修氏が「不況に負けない企業を同友会で作ろう!」と題して講演しました。
■こちらから講演の録音をダウンロードできます。
http://portal.doyu-kai.net/uploads/files/sukigara2008.10.27.mp3
鋤柄氏はまず中同協が派遣したEU小企業憲章視察について述べ、「EU小企業憲章はイギリスのブレア首相がリーダーシップをとり制定されたもので、『EUの産業政策の基盤として一番最初に小企業が考えられるべき』と明記したものだ。Think Small First(小企業をまず最初に考えよ)の言葉は各国政府に対する命令であり、EUという国の集まりが小企業を中心にして産業を振興していくことを決定したのは非常に重要なことだ」と報告しました。
また同氏は同友会に入会する前、3つの失敗を経験したと話します。「一つは会社が軌道に乗り、経営陣が高価なモノを買ってしまったこと。二つ目は目標もなく社員の待遇改善をしたこと、そして三つ目は特別賞与を与える際に社員をランクづけして金額に差をつけたことで、それによって社員の不満が爆発して組合が結成された。新聞で同友会のことを知って藁にもすがる気持ちで入会し、同友会の先輩達と話すことで今までの経営方法が間違いだったと気づいた。同友会に巡りあったのは私にとってのターニングポイントだった」と自身が同友会に入会した当時の経験を振り返りました。
さらに「経営で大切なことは『会社の10年後を語れるか?』ということだ。大きな時代の流れに対応し、その中で会社を維持・発展させていくのが経営者の責任だ。労働者は労働三法で保護されているが、経営者は重い責任を背負い誰も守ってくれない。同友会の労使見解の理念を会社に貫き、社員を経営のパートナーとして、同友会で企業をつくっていこう」と強調しました。
講演後に行われた参加者によるグループ討論の後、参加者からは「今後10年間の世界と日本の変化とその対策をどう考えているか?」との質問が出されました。これに対し鋤柄氏は「世界ではグローバル化、また日本では少子高齢化と地域格差、これは止めることができない大きな流れだ。その中で自社の分析を行い、業界の変化を捉え、強みを見つけて活かしていくことが必要だ。時代を先取りするためには自ら動いて生きた情報をつかむことが大切だ」と述べました。さらに「労使見解を幹部社員に浸透させるにはにどのような方法が効果的か」との質問に対して、「社員に勉強グセをつけることだ。そして社員が学び・教える場面を作ることが大切だ。同友会はまさにこの場面と役割がもらえる場所であり、場面を繰り返しこなすことで知らず知らずのうちに成長できる」と答えました。
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■その他の質問(時間の都合上研修会で取り上げられなかった質問に翌日回答していただきました)
Q1.労働組合は今も存在していますか?またどのような関係ですか?
A.今も残っている。末端の社員の意見をトップにあげることができるので、良い関係を築いている。
Q2.初代から現在の3代目まで血縁はないということですが、後継者をどのように選び、育て、交代したのでしょうか。
A.同業会社に3代目(現社長)を派遣し、そこで力をつけて社長になったあとエステムの社長に就任した。
Q3.従業員370名のうちの正社員の比率と平均年収を教えてください。
A.250人が正社員。年収は33才で450〜500万円。
Q4.社長から会長になられて、気持ちの上で変わったことはありますか?
A.楽になった。中小企業の社長は緊張の連続なのだと感じた。
Q5.従業員370名で38億円。一人当たりの生産性が低く感じますが?
A.水処理施設の運転・整備が主な仕事で、ほとんどが人件費。付加価値率が非常に高い。
【中小企業家同友会全国協議会会長 鋤柄 修氏】
【研修会風景】
【懇親会で挨拶をする亀岡支部長】
【今年度入会した新会員(左から中野氏、滝本氏、高橋氏】
【閉会の挨拶をする木内幹事長】