釧路支部は6月例会を6月26日に開催し、駒澤大学経済学部の吉田教授が「人間尊重の経済を目指して〜同友会が目指す日本経済と地域企業の未来像〜」というテーマで講演しました。
<講演要旨>
今まで、同友会あるいは会員以外の会社は、企業経営を行っていく枠組み条件が、基本的に変らず、ある一定の型があり、人口が増え、マーケットが拡大し、売るべきもの、課題も明確でした。お客さんのニーズもわかっているので、トレンドをつかむ能力があればよかった。
しかし、現在のグローバリゼーションの中での日本経済の大きな特徴として、経済産業省が行った生産の海外移転の推移表では、輸出金額と大企業を中心とした海外現地法人の売上高をみると、94年には輸出40.5兆円、現地法人34.5兆円でしたが、96年には輸出44.7兆円、現地法人47.2兆円となり、現地法人売上が逆転し、日本は多国籍企業主導型経済構造に移っています。企業内国際分業がかなり進み、貿易、経済システムが大きく変わっていることがわかります。このままでは、日本における地域の空洞化が進んでいってしまいます。このような状況の中では、文化を育むコミュニティが存続していく地域・国を作らないとグローバリゼーションに対抗することはできません。
中小企業は個性、質の世界で、企業の大小ではなく、個性あふれるモノをつくり、そして地域で使う、その結果、地域が豊になる。そのような土俵をつくることが大事なのです。地域の中の可能性を引き出そう、それが中小企業基本条例・地域振興条例づくりです。しかし、地域単位の政策だけでは限界があります。
同友会は他の経営者団体と違い、ビジョンを持っています。『労使見解』に基づいた、人間尊重の経営をする同友会型経営指針づくり、この発想を地域に広げていく、このような会社が地域にたくさんあることによって、地域は変わります。これが国民経済のレベルにまで広げていけば憲章づくりになるのであり、ある程度長いスパンのもとで考える課題であると思います。日本を救うのは同友会理念に基づいた地域密着型の中小企業です。ここに確信を持って、日々の企業経営、中小企業振興基本条例・中小企業憲章制定運動に取り組んでいって欲しいと思います。
【全体風景】
【同友会が目指す日本経済の地域・企業の未来像について語る吉田氏】
【様々な質問が飛び交いました】