南しれとこ支部(端賢二支部長126社)は12日、帯広支部幹事長の岩橋浩氏を講師に迎えて9月例会を開きました。同友会は地方自治体に中小企業振興基本条例の制定を求める運動を進めていますが、帯広支部の運動が奏功して今年の4月1日に全道の自治体に先がけて「帯広市中小企業振興基本条例」が制定されました。
岩橋氏は講演の中で、国の中小企業に対する認識が大きく変化している現状に触れ「前近代的で、社会的に好ましくない存在として国家は中小企業を見ていた。しかし今では活力ある中小企業が増えることが日本経済の再生につながると認識を一変させた」と1999年の中小企業基本法の改定によって国の中小企業政策が大きく転換していることを指摘しました。
さらに、国家の財政危機によって地方交付税が激減している現状に触れ「これからの地方自治体経営は、自らメニューを作らなければならない時代になった。中小企業は大企業と違って景気が悪くなったからといって地域から撤退することが出来ない。中小企業が活力を増すことによって税収、雇用、消費が好転する。地域の浮沈は中小企業の隆盛に委ねられている」と述べ、条例を制定して中小企業政策を地方自治体の基本戦略に組み込むべきと語りました。
同友会南しれとこ支部は商工会と合同で条例の制定を中標津町に働きかけています。
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帯広市中小企業振興基本条例
帯広・十勝は、民間開拓団の入植以来、先人たちの弛まぬ努力によって、農業及び関連する幅広い産業が発展を遂げてきました。
今日でも、農業を基盤として、食品加工や農業機械など関連産業が発達しているほか、消費・サービス、運輸・流通など幅広い産業が展開しており、帯広市は、広く十勝の産業と関連性を深めながら、十勝の産業や生活を支える中心都市として発展してきています。
本市産業を支える中小企業は、地域資源が持つ価値を限りなく発揮させ、雇用を確保・拡大し、市民所得の向上をもたらすなど、帯広・十勝の地域経済の振興・活性化を図る極めて重要な担い手であります。
地域産業の発展に重要な地位を占める中小企業の振興が、帯広・十勝の発展に欠かせないものであることの理解を地域で共有し、関係者の協働で地域経済の振興を図ることにより、もって地域の発展に資するためこの条例を制定します。
(目的)
第1条 この条例は、地域産業の発展に果たす中小企業の役割の重要性にかんがみ、帯広市の中小企業振興に関して基本的な事項を定めることにより、その基盤の強化及び健全な発展を促進し、もって産業及び地域社会の発展に寄与することを目的とする。
(定義)
第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号の定めるところによる。
(1) 中小企業者 中小企業基本法(昭和38年法律第154号)第2条第1項各号に定めるものをいう。
(2) 中小企業者等 中小企業者、事業協同組合、事業協同小組合、協同組合連合会、企業組合、商工組合、商工組合連合会、商店街振興組合、商店街振興連合会その他市長が適当と認めた中小企業団体をいう。
(中小企業振興の基本的方向)
第3条 この条例の目的を達成するため、市及び中小企業者等が協働して中小企業の振興を図る基本的方向は、次のとおりとする。
(1) 帯広・十勝の地域資源を活用する起業・創業及び新技術・新事業開発の支援
(2) 技術・技能の向上をはじめとする人材の育成及び担い手づくりの促進
(3) 経営基盤の強化
(4) 産業基盤の整備
(5) 中小企業者の組織化の促進及び中小企業団体の育成
(市長の責務)
第4条 市長は、前条の規定に基づき、地域の中小企業関係団体と密接に連携し、中小企業振興のための指針を定めるものとする。
2 市長は、国、北海道その他の公的団体等と連携し、融資のあっせん、助成金の交付その他中小企業者等に対する支援等必要な施策を講じなければならない。
(中小企業者の役割と努力)
第5条 中小企業者は、自助の精神にのっとり経営基盤の改善・強化、従業員の福利向上に努めるとともに、地域環境との調和及び消費生活の安定・安全確保に十分に配慮し、地域経済の振興発展に貢献するものとする。
2 中小企業者は、それぞれの地域及び業種等を中心に組織化を図るとともに、中小企業者等による共同事業の実施、商店街組織への加入等相互に協力するよう努めるものとする。
(市民の理解と協力)
第6条 市民は、帯広・十勝の中小企業が地域経済の振興・発展及び市民生活の向上に果たす重要な役割を理解し、地域中小企業の育成・発展に協力するよう努めるものとする。
(委任規定)
第7条 この条例の施行について必要な事項は、別に定める。
附 則
(施行期日)
1 この条例は、平成19年4月1日から施行する。
(帯広市中小企業等振興条例の廃止)
2 帯広市中小企業等振興条例(昭和54年条例第26号)は、廃止する